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東京都デジタルサービス局主催「Career Meetup」イベントレポート
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イベント概要
東京都では、2019年度に「『未来の東京』戦略ビジョン」を発表し、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができる「スマート東京」という概念を示し、都庁横断的に様々な取組を推進しています。
これらの取組の推進には、様々なデジタル人材が関わっています。皆さんに東京都で活躍するデジタル人材がどういった事業に取り組んでいるかをお伝えするため、先日、東京都デジタルサービス局主催の対外イベント「Career Meetup」を開催しました。
今回のMeetupでは、デジタルサービス局、総務局、GovTech 東京から各1名が参加し、トークセッションを通して、都庁の変革を支える人材に求められることについてお話ししました。
登壇者プロフィール
※プロフィールは2024年2月27日時点の内容です。
長岡翔平
東京都デジタルサービス局戦略部 デジタルシフト推進担当課長/総務部 デジタル人材戦略担当課長(兼務)
2008年~2019年
新卒でIT企業に入社し、主に金融機関の顧客向けコンサルタントやプロジェクトマネージャとして活動。ラインマネージャとして組織のリードや事業開発等を行う
2019年12月~現在 都庁へ転職し人材戦略や組織戦略に従事
斉藤律子
東京都総務局人事部制度企画課人事システム担当
2011年 新卒で主に公共分野のシステム開発を行うSIerに入社。SEとして後期高齢者医療制度や国民健康保険制度に関する基幹業務システムの開発を担当。
2020年4月 都庁へ転職し東京都知事部局等の職員約3万人の給与計算等を行う給与システムの運用を担当。その後、職員の勤怠情報等の管理のほか、休暇や年末調整等の各種申請を行う庶務事務システムの運用・構築を担当している。
桑本豊彰
GovTech東京テクノロジー本部 テクニカルグループエキスパート
2022年 デジタルシフト推進担当課長として東京都へ。
2023年9月 GovTech東京設立にともない、第一陣として移籍。
新卒でインターネット業界に入り、モバイルサイトやECサイトの運営やプロダクトマネジメントに関わる。
その後、航空会社や旅行業界でプロダクトの他にデジタルを軸としたセールスマーケティングやデータドリブンな組織づくりをリード。
都庁各局や区市町村向けに、デジタルマーケティングやUI/UXのコンサルティングに従事。
ウェブサイトのアクセス解析やUX改善を中心にハンズオンをしたり伴走サポートをしている。
トークセッション
なぜ東京都、行政を選んだのですか?
長岡:もともと行政は全く選択肢になかったんですけど、30歳を過ぎたぐらいから、仕事を通じて社会貢献をしたい気持ちが徐々に高まってきていました。そんな時に偶然、公募の記事で宮坂さんのメッセージを見て、それに感化されて後先考えずに行政の世界に飛び込みました。
斉藤:前職では公共系のシステム開発を行っていたので、行政とのつながりは元々ありました。ベンダーとして顧客の要望通りにシステム開発をしている中でもっと自分の考えをもっていろんなシステムを開発したいと思うようになってきた頃に、東京都がDX推進の取組をすることを知って、思い切って採用試験を受けました。
桑本:結婚して子どもが生まれてから役所に行くことが増えたことや、コロナ禍で自治体の役割って大きいんだなと感じ、行政に興味が湧いてきたというのと、一都民や事業者として、行政のUXや情報発信に課題感があったこともあって、何かに関われないかと感じていた中で、宮坂さんがインタビューで「官民を行き来するキャリアが普通になってくるよ」という風におっしゃていて、確かにありそうだなって思ってジョインしました。
仕事の魅力、やりがいを教えてください。
長岡:前例のないことにチャレンジして、それが行政で1つ目の事例になっていくところですね。デジタルスキルマップも都庁で初めての取組だったんですが、自治体だけでなく民間企業からも問い合わせをいただいたり、「参考にしたい」といった形で注目いただけるのはやりがいを感じます。また、仕事の成果が東京都以外にも波及していくのを実感した時にすごくやりがいを感じます。
斉藤:私は東京都の内部事務を電子化することに携わっているので、ここ数年で電子化が進んで便利になってきている変化が目に見えるとやりがいを感じます。あとは、自分の考えを持ってシステムを構築できるところで、やりたいことができているなと思います。日々の業務の中では、小さいことですけど、システムのリリース日に合わせて事業者と意見をスムーズにすり合わせられた時はやったな、という感じでやりがいを感じます。
桑本:昨年ある自治体の支援をさせていただいたんですが、支援が終了して何か月か経ってから支援先の方と再会する機会があって、その際に、支援先の皆さんが私のことを覚えていてくださって、「すごくためになっています」のようにおっしゃっていただいた時はやりがいを感じました。
仕事を進めていく中で苦労したことはありますか?
長岡:自分が入都したのが、いわゆる民間人材として、デジタルシフト推進担当課長の1期生だったので、ちょっと異人種みたいな感じで警戒されていたかもしれません。そこから行政の働き方を知りながら、徐々にお互いを理解し合っていくところで最初は苦労した部分もありました。それでも、ICT職ができたり、デジタルの世界で仕事をしてきた人が組織に増えてきて、協働できる環境や文化が徐々に情勢されていきましたね。
実務の面では、人材戦略や組織戦略を考える上で、法令とか制度とか、慣習も含めて制約が多いので、その中でいかに良いものを作るかというのも、苦労したというか、チャレンジングな経験だったなと思います。
斉藤:都庁に入って最初の壁は文書の書き方ですね。東京都には文書事務の手引きというものがあるのですが、こういう時は漢字でここはひらがな、みたいな細かいルールは民間にいた時にはなかったので苦労しました。
私は人事や給与といった職員を管理するシステムを担当しているので、色々な制度を知っていないといけないのですが、地方公務員法や条例の読み解き方にはすごい苦労しました。
桑本:支援を行う中で、支援先の職員が必ずしもデジタルやマーケティングに明るいわけではないので、説明の仕方に工夫をする必要があったのは少し苦労しました。あと、支援先事業においての行政法や制度を学んで理解していく必要があるのことも苦労したことですね。
今後の目標やキャリアビジョンを教えてください。
長岡:今後は人材戦略をより極めていきたいと思っています。人材戦略って経験と勘に頼りがちになっている部分あると思っていて、でも一方で、アカデミックな世界でも理論が確立されているので、理論と実践を結び付けながら、行政における人材育成メソッドを体系化させていきたいですね。それを東京都や区市町村はもちろんですけど、全国に波及させて、日本全体の行政の人材力向上をテーマに、チャレンジし続けていきたいと思っています。
斉藤:せっかく行政に入ったのでシステムのことだけではなく、全体のバランスや効果を考えて自分から色々変えてやる、くらいの意気込みを持ってやっていきたいと思っていて、そのために行政の知識をもっと身に着けていきたいですね。
今は東京都の内部のシステムを担当していますけど、いずれは都民の方が使用するシステムの開発に携われたらなと思っています。
桑本:まずは実務的なところで、行政UXという観点で言うと、情報発信とか自治体と市民の方とのコミュニケーションのところにまだ課題があると思っているので、その最適化を広げていきたいと思っています。あとDXの文脈だと、デジタル化しておしまいではなく、デジタルを使って新しい価値や価値を向上させるといった、本来の意味でのDX領域にも踏み込んでいきたいと思っています。
質疑応答にて
事前のアンケート、当日のチャットでいただいた質問にもお答えしました。
どういったスキルや経験を持った人が求められているのでしょうか?
長岡:ICT職は、人材像で「行政とICTをつなぐ」と表現している通り、ICTの専門性だけでなく行政職員としての視点やスキルもしっかり備えていく必要があります。デジタルはあくまでも手段として、行政課題の解決にどう使えるのかということを考えられる人、行政の中で多様なステークホルダーと協働しながら実践をリードしていける人、そして何よりそういった活動に面白さを感じる人が向いていると思います。
どんな人と一緒に働きたいですか?
桑本:GovTech東京はジョブ型採用なので、スキルセットなどについては採用サイトを見てもらえればと思いますが、マインドの部分では、デジタルでより良い世の中を作りたいって思いを持った人がGovTech東京に入ってきているので、そういった思いがある方はすごい馴染めるかなと思います。一方で、行政サービスは人が中心になるので、UXをきちんと意識できる方っていうのはどの職種にも当てはまることだと思います。
斉藤さん:ICT職は仕事をする上で事務職の方と一緒に力を合わせていく必要があるので、分け隔てなくコミュニケーションをとれるといいのかなと思います。あと、ICT職はデジタルサービス局だけに配属されるわけではないので、色々なことに興味を持っている方がいいのかなと思います。
デジタルサービス局とGovTech東京はどういった関係なのですか?
長岡:大きく分けると、デジタルサービス局が行政的業務、GovTech東京が開発的業務という形で分かれています。行政的業務というのが戦略の策定とか計画策定、統制ガバナンスといったところですね。開発的業務は実際のシステム開発とか技術支援といったところになります。桑本さんは、いまGovTech東京でどんな開発的業務をやっていますか?
桑本:行政とか実務のジェネラリストがデジタルサービス局にいて、GovTech東京に開発とか技術のスペシャリストがいるので、相互補完関係があって、「バディ」を組んで課題に取り組んでいる形になってきたかなというところですね。
それで今がちょうど開発体制の構築中でして、アーキテクトとかプロジェクトマネージャーとかエンジニアの方を絶賛募集中という感じです。
長岡:少し補足すると、採用の入り口としては都庁のICT職とGovTech東京の大きく2つがあって、GovTech東京に入ると期中は開発的業務を行う感じですけど、ICT職として入るとデジタルサービス局などで行政的業務をやりつつ、GovTech東京に一定期間派遣されて、GovTech東京の立場で働くこともあるので、行政スキルと開発スキルの両方を磨くことができるかなと思います。
仕事や研修などを通じて、スキルアップに繋がったと感じることはありますか?
斉藤:どうしても仕事をしているだけだと今持っているデジタルスキル以上のことを身に着けるのは難しいところがあると感じていたんですけど、ICT職は特に研修が充実していて、この研修はこの分野を学べますよみたいに見える化されているので、自分が強化したい分野の研修を受講してスキルアップしているかなという感じです。
長岡:僕は研修を企画する立場なんですけど、ICTの世界って細分化されていて、どんどん新しいものも出てくるので、職員が自ら選択して研修を受けられることを大事にして、研修のプログラムを作っています。
桑本:あとは企業訪問とかもありますよね。みんなが知っているようなIT企業にお話伺いに行くとか、海外の企業を訪問したり、海外の自治体に行って学んだりするような研修も制度としてありますね。
どのような判断価値基準を持ってプロジェクトの実行を決めているのですか?
桑本:デジタル庁も言ってますけど、「誰一人取り残さない」というのが行政と民間の違いではありますが、基準となるとどうなんでしょうね。
長岡:EBPMというキーワードがありますが、データやエビデンスに基づいて政策を決定していくことが大事なアプローチの一つかなと思っています。EBPMを実行する上で、データの収集や分析、可視化が大事になってきますが、その部分もICT職の活躍が期待されるフィールドの一つですね。
採用候補者へのメッセージ
長岡:このイベントを通じて東京都やGovTech東京に興味を持っていただけたらもちろん最高なんですが、そうではなかったとしても、「行政でデジタル人材として働く」という選択肢を、皆さんの中にひとつ加えていただけたらすごく嬉しいです。
民間を中心に活躍されているデジタル人材が自治体に入り込んでいって、みんなで日本の自治体を盛り上げていければと思っています!
斉藤:東京都に入ってみて、東京都にはシステムもいっぱいあるし、ICT職としてやれる仕事の幅って広いんだなっていうのをすごく実感しました。みなさんと一ぜひ緒に働ければと思っているので、ご検討のほどお願いします。
桑本:皆さんのスペシャリティを行政で活用して、デジタルで世の中を変えてみたいという方は、ぜひ応募をご検討いただければと思います。GovTech東京ではカジュアル面談も受け付けておりますので、ご興味あればお問い合わせフォームからお願いできればと思います。ぜひ官民を行き来するキャリアについて一度考えていただけると幸いです。
イベントを終えて
今回のMeetupでは、3名のデジタル人材によるトークセッション等を通じて、東京都とGovTech東京で働く職員の生の声をお届けしました。当日のアーカイブ動画も公開しておりますので、ご興味ある方はぜひご覧ください!
また、Meetup形式のイベントは今後も実施する予定です。開催予定が決まりましたら、サイトのお知らせページに案内を掲載しますので、適宜ご確認いただけますと幸いです!
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