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東京都デジタルサービス局主催「Career Meetup 都庁への転職ストーリー~民間から公務員への挑戦~」イベントレポート
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東京都では、民間企業等での一定以上の職務経験を有する方を対象にキャリア活用採用選考し、ICTに関する専門的知識・スキル・経験を持つ人材を採用しています。今回は同選考を経て、「東京」を舞台に活躍するICT職のリアルな声をお届けするため、東京都デジタルサービス局主催のライブ配信イベントを開催しました。
イベント概要
今回のMeetupでは、民間企業からキャリア活用採用選考で都庁へ転職した2名を交えて、東京都が取り組むDXのビジョンや戦略、実際に手掛ける事業や業務内容、行政というフィールドで働くことの苦労や魅力などについてお話ししました。
登壇者プロフィール
※プロフィールは2024年6月28日時点の内容です。
■ICT職 登壇者
小泉 琢郎
デジタルサービス局 デジタル戦略部 DX推進課課長代理(DX推進担当)
子供政策連携室 総合推進部 総務課課長代理(企画・デジタルシフト担当)兼務
2001年4月~2019年3月 銀行のシステム開発・運用保守を行う企業に入社して、基幹システムの運用保守、開発を担当。
2019年4月~2023年3月 都庁に転職。総務局人事部所管システムの開発・運用保守担当。
2023年4月~現在 本務先であるデジタルサービス局よりICTの支援担当として子供政策連携室に兼務で配属され、システム開発の伴走支援やCIO補佐官サポート等を担当。
堤 加奈
一般財団法人GovTech東京 デジタル戦略本部
官民共創グループシニアスタッフ(デジタルサービス局総務部付派遣)
2015年4月~2019年7月 主に外国為替証拠金取引を行うオンライン証券会社に入社。WEBマーケティング、データ分析、経営企画を担当。
2019年8月~2022年3月 総合系外資系コンサル会社に入社。金融機関及び小売企業向けの経営コンサルティングを担当。
2022年4月~2024年3月 都庁に転職。デジタルサービス局にて、都庁内各局で使用する業務効率化ツールやファイルストレージなどの導入運用業務を担当。
2024年4月~現在 GovTech東京にて、官民共創による新たなデジタルサービスの創出に取り組む。
■事務局 登壇者
安藤 武郎
デジタルサービス局 総務部 デジタル人材戦略課長
2006年4月~2023年3月
新卒で東京都庁入庁(事務職)。教育庁で都立学校の現場や総務局で庁内の人事制度などを担当したほか、内閣府、江東区、㈱東京ビッグサイトへの派遣を通じ、幅広い組織・業務を経験。
2023年4月~現在 デジタルサービス局へ転入。CIO補佐官制度など都庁内のDX推進体制の構築・運営に携わった後、今年4月から現職にて、ICT職をはじめとするデジタル人材の確保・育成等を担当。
トークセッション
なぜ東京都、行政を選んだのですか?
小泉 前職では、社会インフラの一つである銀行のシステムを作る会社で働いていました。その会社で18年間働く中で、システムとして違う分野で働いてみたいと思っていました。また、1年程参加したNPOでの経験を通じて、スキルを活かして更に社会貢献したいという思いもありました。
そんな中、東京都のキャリア活用採用でICT職の募集があるのを知り、今まで培ったICT関連スキルを活かしながらも新しい分野に関わることができ、更には人や社会の役に立てる!と思い、チャレンジを決めました。
堤 私は前職でのコンサルティング経験を通じて、クライアントの課題解決に全力を尽くすやりがいを感じていました。一方でコンサルタントは、組織に所属しながらも個人事業主のような要素も強く、それが自分に合っているのか?と感じていたり、今後の働き方や、長期的なキャリアビジョンを考える機会も多くなりました。
ちょうどそんな時に、都庁がICT人材の採用を始めたことを知りました。コロナ禍で行政のデジタル化が注目されていた時期(2021年)ということもあり、非常に意義深い分野だなと感じました。コンサルで培った課題解決のスキルを、より広い公共という舞台で発揮できると思うとすごくワクワクしました。デジタル化が加速する中で、新しいフィールドに飛び込み、挑戦をしたいという想いを胸に、転職を決意しました!
仕事のやりがい、魅力について教えてください。
堤 東京都の仕事の魅力は、「100%都民のために働ける」点だと思います!デジタルの力で、都民の生活をより便利に、快適にできる。そのやりがいはとても大きいです。1-2年目は、どちらかというと職員向けのシステムに携わっていたのですが、それもゆくゆくは都民サービスの向上に繋がっていくことだと思うので、非常にやりがいがありました。
小泉 仕事の魅力は何といっても「脳みそフル回転して力いっぱい働ける広いフィールドが沢山ある」です。しかも、目覚ましい情報技術の進歩に負けないように東京都も進化を続けていて、いろいろな経験ができるので楽しいです。何より、公共の福祉につながっている点が大きいと思います。また、ICT職に関しては、研修がかなり充実しており、自分に足りないスキルを補うことができるので、魅力ある職場だと思います。
安藤 ICT職の研修には、スキルに合わせたコース別研修や、オンライン学習講座を研修として受講することができる他、成長段階に合わせて様々な研修を用意しています。特に海外派遣研修として、自身で渡航先や工程を計画し、最長1か月ほどで海外の最先端技術の知見を得てくる、といった取組もあります。
働き方・勤務体制や入庁前後でのギャップについてお聞かせください。
小泉 個人的には、忙しい部署だなとは思いますが、昨年度、有休はほぼ消化しました!テレワークは週一程度ですが、担当内で調整しながら取り組んでいます。
ギャップに関しては、入庁前後ではないのですが、2019年からの都庁の進化は凄いです。環境やツールがどんどん整ってきています。昨年度ですが、台湾出張に行かれた方がいたんですが、当たり前のようにその方々含めてWeb会議を行ったりしました。入庁前に抱いていた都庁のイメージとは違いますね。
堤 都庁では勤務の開始時刻が一律ではなく、自身の働き方に合わせて出勤時間を選択できます。また、メンバー全員、適度にテレワークと出勤を組み合わせていいます。
入庁前後のギャップでいえば、予算の単年度主義や公平性・透明性を保つための調達ルールなど、民間企業とは異なる仕組みの部分です。ただ、こうした制度や調整の多さは、公的機関には必要なものなので、適切な手続きを踏み、関係者の理解を得ながら進めていくことが何より大切だと考えます。これらの仕組みの意義を理解し、その中で最大限の創意工夫を凝らしていくことが、現職でのミッションだと感じています!
安藤 仰っていただいたように時差出勤で始業開始時刻を7時台から11時まで柔軟に決めることができます。私自身も子供が家を出るのを見送ってから出勤しています。テレワークも働き方に合わせて実施しており、浸透しているなと思います。
転職者ならではの悩み事や困りごとはありましたか。
堤 組織文化の違いには最初戸惑いました。民間とは全然違うルールやプロセスがあって、すぐには馴染めなかったです。でも、上司をはじめ、周囲の方々と話す中で、その考え方の背景をしっかりと教えていただき、民間とは違う行政ならではの意義を理解することができました。今は、その制度の中で、工夫して物事を進めるコツも分かってきて非常に楽しくなってきたところです。
小泉 即戦力として仕事に貢献するためにも、文書管理・予算・契約といった公務員としての基本知識に関するキャッチアップには気を付けました。また、民間と違って「営業」という存在がいないので、契約事をすべからく自分の事務としてやる必要があり、苦労しました。ただ、出来上がった組織ではあるのですが、常に新しいことに挑戦している環境ではあるので、そういった意味では馴染みやすいなと感じております。
東京都職員として挑戦したいこと、自身の課題と目標について教えてください。
小泉 この5,6年でシステム開発の進め方や、公務員としての基本も身についたと思っていますので、次はGovTech東京で区市町村支援等、新しい経験・チャレンジをしたいなと思っています。また、ICT職の方向性や、都庁のデジタル戦略を立てる側にも回ってみたいので、管理職選考にもチャレンジするつもりです。
自身の課題の一つ目は、クラウドを利用したシステム構築・運用やUI・UXなど不足しているスキルのキャッチアップです。自己研鑽としてオンラインで多くの研修を受講し、キャッチアップに努めています。また、二つ目はアウトプットが弱いところでしょうか。発信しても思うように伝わっていない事もあるため、上手く伝えられるようにアウトプットの必要性を感じています。これらの課題を克服し、困っている子供がいない前向きな世の中にすることが、今の目標です。
堤 今後は、デジタルの力で、もっと都民の暮らしを良くしていきたいと考えています!特に力を入れたいのが、中小企業支援です。中小企業は、東京の経済を支える大事な存在ですが、デジタル化が追いついていないのが課題です。だからこそ、デジタル人材としてのスキルを活かして、中小企業のDXを後押ししたいと思っています。
自身の最大の課題は、庁内の人脈がまだ少ないことだと認識しています。多くの方々と関わり、様々なプロジェクトで貢献していくことで、「この分野なら堤さんに聞けば問題ない」と言っていただけるような存在になりつつ、より広範な人脈を築いていくことを目指しています。多様な部門の方々と協働することで、行政全体の課題や可能性をより深く理解し、より効果的なデジタル化施策を提案・実行できるようになりたいとも考えています。このように、人脈の拡大と深化、そして自身の専門性の向上を通じて、都庁のデジタル化推進により大きく貢献できる人材になることが、私の目標です!
安藤 お話しいただいた、管理職選考というのは都庁のキャリアパスのなかでも特徴の一つかと思います。意欲のある方を公平な仕組みのもとで選抜していくという形になっています。また、ジョブローテーションに関しては、デジタルサービス局や都庁各局で行政力、Govtech東京でデジタル力をバランス良く伸ばしていき、活躍の場を広げるような仕組みとなっています。
質疑応答
事前のアンケート、当日のチャットでいただいた質問にもお答えしました。
民間出身者に求められていること、キャリア活用採用試験においてアピールした方が良い民間での経験とは?
小泉 採用試験そのものには関わっていないのですが、キャリア活用ですので、ICT関連スキル以前に、きちんと仕事が出来ることが求められていると入庁して感じました。東京都は取り組んでいる事業が多岐にわたってるので、きっと、ご自身が強みと思われているポイントでご活躍いただける分野があります。そのため、強みをきちんと言語化してアピールいただけると良いのかな、と思います。
GovTech東京と協業している認識だが、経験できること、働き方など、違いを教えてください。
堤 現在私はGovTech東京に派遣されております。この組織の魅力は、まさに多様性にあると感じています。「技術の専門家集団」として民間から直接採用された方、区市町村からの派遣の方、都庁からの派遣者など、実に様々なバックグラウンドを持つ人材が集まっています。この環境で働くことで、多様な視点や経験を持つ方々とコラボレーションできることが、非常に貴重な経験だと日々実感しております。
公務員は部署の異動が活発に行われますが、ICT職においても数年単位で異動が発生するのでしょうか。
安藤 平均すると概ね3年程度で、デジタルサービス局やその他都庁各局、Govtech東京をローテーションしていきます。(ローテーションを通じて)デジタルと行政の力をバランスよく育成していきます。個々のスキルも鑑みながら様々な部署を渡り歩いて活躍していってほしいと考えています。
事前・当日質問に対する登壇者からの回答
事前アンケートで頂いた質問
明らかに有用そうな職歴やキャリアがない人は、どうすれば参画できるのか?
募集要項に記載されている「求められる経験」に経歴が合致しない場合も、これからの学びや成長のポテンシャルを踏まえての評価をして頂くことは可能でしょうか。
ご経験されたことを丁寧に棚卸いただき、東京都の事業にどのように取り組みたいのか、取り組めるのかを語っていただくのが肝要と思います。
※評価基準等については恐れ入りますが言及致しかねます
東京都職員・職場の魅力について
都庁本庁舎やGovTech 東京など多種多様な環境で働けることで、常に新しい刺激を得られるのは大きな魅力だと感じています。
また、規模の大きさ・社会に与えるインパクトの大きさも魅力の一つです。東京都の施策は、都民の皆様の生活に直接影響を与えます。そのため、自分の仕事が社会に貢献している実感が非常に強いです。
他にも、服装の自由度も魅力の一つです。(部署にもよりますが)比較的自由な服装で仕事ができるので、リラックスした雰囲気で業務に集中できます。
職場の風土・雰囲気の違いについても気になります。
良い意味での緊張感があります。行政に携わる者としての責任を常に意識しているので、いわゆる「ゆるい」雰囲気はあまりありません。ただ、そういった中でも職員同士の仲は非常に良いと感じています。特に、困難な業務に直面した時、それを一緒に乗り越えた際の喜びは格別です。そういった経験を通じて、職員同士の絆がより深まっていくのを実感しています。
配信中に頂いた質問
ICT職ではどれほどの技術力が求められますか
東京都のフィールドの幅は広いので、求められる技術力の幅も広く、活躍できるフィールドがあるはずです。個人的には目利き・事業者との会話ができるに越したことはないと思います。
他自治体からICT職で入庁された方はこれまでいましたでしょうか。
都内区市町村、都外の自治体から転職された方はいます。
50代以上の年齢に採用のハードルはありますか? 募集要項上はないと認識してますが。
募集要項に記載の受験資格を満たしていれば、特に年齢に採用のハードルはございません。
英語を使う機会はありますか?
業務として英語を使う機会は少ないですが、海外派遣研修などで、英語を活用できる場面はあります。
他のイベントやインタビューを見ても、テレワーク率は低いのかな(週1~2程度)と感じています。これから増やしていく予定はあるのでしょうか?それとも維持といいますか、特に組織として全体的に増やしていく予定はないでしょうか?
テレワークは平均すると週1~2日程度の職員が多い印象ですが、職場や業務の状況によって週3日以上実施する職員もいます。オンラインミーティングはかなり浸透しており、テレワークを使う環境自体は整っています。
試験対策で何かやっていたことはありますか?
広報物を読んで、自分の興味・関心のある分野や活躍できる領域を調べたり、具体的にどういった取組を行うかアウトプットとして語れるレベルで掘り下げて考えていました。
他にも、都庁3階にある都民情報ルームに行き、過去の海外派遣研修報告書などのコアな情報を集めて面接のネタにしていました。
採用候補者へのメッセージ
堤 転職をお考えの皆様は不安がある方が多いかと思いますが、まず飛び込んでみることが大事だと思います。皆さんと一緒に東京都の未来を切り拓いていきたいと思っておりますので、是非チャレンジしていただければと思います。
小泉 皆が幸せになるために、デジタルの力を発揮して、力いっぱい働ける広いフィールドがありますので、是非、一緒に働きましょう!東京都も色々と広報を行っていますし、ご自身がやってみたい!と思うフィールドがどこかにあることを見出していただけるのではと思います。皆様のチャレンジをお待ちしています!
安藤 東京都はスケールが大きく、皆様が活躍できる分野、様々な興味・関心に沿うものがあると思います。是非チャレンジしていただければ嬉しいです。応募をお待ちしています!
イベントを終えて
今回のMeetupでは、ICT職の2名を招いてのトークセッション等を通じて、民間企業から東京都へ転職した職員の生の声をお届けしました。当日のアーカイブ動画も公開していますので、ぜひご覧ください!
また、Meetup形式のイベントは今後も実施する予定です。開催予定が決まりましたら、本サイトのお知らせページに案内を掲載しますので、ご確認いただけますと幸いです!
▼アーカイブ動画はこちら
令和6年度キャリア活用採用選考(ICT職)へのエントリー期間が公表されました。 |
試験・選考情報については下記のリンク先をご確認ください。(東京都職員採用サイトに遷移します)
▶キャリア活用採用選考