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都政を支えるICT職員のための実務直結型の研修とは?
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東京都ではICT職の職員がそれぞれの業務に応じたデジタルスキルを習得できるよう、多様な研修プログラムを展開しています。令和7年度からは、都政の実務に即した演習形式の新たな研修がスタートしました。今回は、その研修の様子をご紹介します。都庁ICT職に求められるスキルについても触れていますので、ぜひご覧ください。
都政とICTをつなぐ人材――多様なバックグラウンドを持つ職員が活躍
東京都では「都政とICTをつなぎ、課題解決を図る人材」としてICT職の採用を行っており、2025年11月現在、200名を超える様々なバックグラウンドを持つ職員が活躍しています。
「公務員」と聞くと新卒採用のイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、実際には民間企業等での経験を経て都庁で働く職員も数多くいます。
このように、都庁のICT職には多様な経歴やスキルを持つ人材が集まり、それぞれの強みを活かして活躍しています。
もしかすると、本記事をご覧の方の中には「自分のスキルは都庁ICT職として活かせるのだろうか?」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。そうした方々にも安心してチャレンジしていただけるよう、東京都では職層やスキルに応じた多様な研修を実施しています。
今回ご紹介するのは、東京都とGovTech東京が連携し、より実務に即した内容を学べるよう新たに企画された研修の様子です。
現場で役立つ!ICT職専門研修(実践)の内容をレポート
ICT職専門研修(実践)は、都庁の実務に直結する知識やスキルの習得を目的としたカリキュラムで、工程別の4コースと、内製開発の計5コースに分かれています。
- 企画
- 要件定義
- 設計開発
- 運用・廃止
- 内製開発
今回はその中から「要件定義コース」の様子をご紹介します。
本研修の特徴は、都庁の実情にも精通しているGovTech東京の知見を活かし、都庁ICT職向けに都のルールや実務に即したカリキュラムや教材を自前で作り上げている点です(研修の内製化)。また、講義後には受講生同士がペアを組んで、複数回のグループワークが行われ、相互に振り返りを行うことで理解を深めていきます。
研修当日は、政策企画局、総務局、デジタルサービス局など各局の職員が参加しました。講師はGovTech東京で都庁各局のDXを担当している職員が務め、日々様々な部署から「新たにデジタルサービスを活用したいが、仕様書の書き方が分からない」といった相談に対応している実務経験に基づき、ポイントをわかりやすく解説しました。
都庁のICT職には、ベンダーと東京都の事業担当者の橋渡し役として、現場職員の要望を要件に落とし込み、ベンダーとの調整を行う役割が求められます。そのためには、入札などの手続に関する知識とシステム等デジタル関係の知識の双方が不可欠です。講義では、実務を想定しながら、要件定義から仕様書作成、東京都における入札制度、そして講師が実際に対応した現場のエピソードを交えて、実践的な解説が行われました。

業務フローで課題を整理し、システム化の可能性を探る
全体像の講義を受けた後は、「業務要件の整理」に関する内容が展開されました。新たなデジタルサービスの導入を検討する際、最初から要件定義に着手するのではなく、まず、「そのサービスで何を実現したいか」を明確にし、業務要件を整理することが重要です。
単にデジタル化を目指すのではなく、業務の進め方に改善の余地がないか、関係者は誰か、関係部署との役割分担はどうなっているかなどを事前に整理することで、業務手順が明確になり、属人化の防止にもつながります。
一方で、単に一覧表で整理しようとすると抜け漏れなどが生じやすいため、講師からは「業務フロー図」や「業務機能構成表」といったフレームワークの紹介がありました。
今回の演習では、備品を紙とExcelで管理している職場を題材に、現状の業務フローや作業内容などの現状を整理しました。各グループはまず業務フローを作成し、自身の担当業務における経験も踏まえながら、グループで意見を出し合い、ホワイトボード上で業務の流れを可視化していきました。
続いて、業務要件で整理した現状を、どのようにデジタル化すると良いか考えるワークを行いました。職員が紙やメールでチェックしている業務について、「予約が競合した場合は?」「利用者はどういった機能があると便利だろうか?」など様々なパターンを想定し、グループ内で議論しながら整理し、発表しました。
講師からは、どのグループも利用者目線で検討していた点が高く評価されました。日頃からユーザーの視点を意識して業務に取り組んでいる姿勢が、今回の研修でも自然に表れていたようです。
今回の研修では、システムの要件定義に取り組む際の具体的なアプローチ方法を学ぶことができました。今後、各職場で実践し、日々の業務効率化や都民サービスの向上に役立てていくことを期待しています。

受講者の声
研修の満足度は4.5と非常に高い評価でした!
受講生からは「要件定義の実務経験がなかったが理解しやすかった。今後、実務で直面する際に参考になる内容だった。」「都庁の業務に沿った内容で、外部の研修と比べても参考になることが多かった。」といった声が挙がりました。
今回、ご紹介した研修以外にも、東京都では職員一人ひとりのスキルやレベル、業務内容に応じた多様なメニューを用意し、ICT職職員のスキルアップを支援しています。
今後もICT職の育成に関する情報を随時発信していきますので、ぜひ定期的に本サイトをチェックしてみてください!