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1日のスケジュールから知る、ICT職の仕事、働き方、環境のこと
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行政サービスの効率化や住民サービスの向上に向けて、ICTの活用を積極的に推進している東京都。しかし、その裏側でICT戦略を支え、実現していくICT職の仕事については、十分に知られていないのが現状です。
そこで今回は、東京都でICT職として働くAさんとBさんにインタビュー。1日のスケジュールとともに、具体的な業務内容や仕事のやりがい、働き方、庁内の雰囲気などについて伺います!
Aさん(東京都/ICT職)
デジタルサービス局総務部総務課付派遣 GovTech東京 デジタルサービス基盤開発本部 共同化グループ。東京都内の地方公共団体が共同で利用する共同電子調達サービスの再構築・運用業務、デジタルツールの共同調達業務などを担当。入庁前は他自治体で情報システム管理などに従事。専門性を高め、キャリアアップを目指したい思いから、ICT職のキャリア活用採用選考を経て都庁へ入庁。
Bさん(東京都/ICT職)
デジタルサービス局デジタル戦略部区市町村DX協働課。国からの法令に基づくシステム標準化に向けた自治体の窓口対応に従事。入庁前はコンサルティング、マーケティングを行う民間企業で、プロジェクトマネジメントやインサイドセールスを担当。民間企業の経験を活かしながらデジタルの力で都民のQOL向上に貢献できる仕事がしたいと思い、ICT職のI類B採用試験を経て都庁へ入庁。
【Case1】Aさん(GovTech東京デジタルサービス基盤開発本部 共同化グループ)
1日のスケジュール
現在の仕事内容は?
東京電子自治体共同運営サービス※の再構築や運用、デジタルツールの共同調達を担当しています。共同調達には様々なテーマがありますが、その中でも、主に電子契約サービスや、サイバー攻撃訓練業務の導入検討を担当しています。
具体的な仕事内容としては、都内地方公共団体からの問合せ対応をはじめ、新たなデジタルツールの導入に関する調査や検討、該当のデジタルツールに興味を示した区市町村等により構成されるWG(ワーキンググループ)の運営などです。WGでは、参加団体が議論するための資料作成や当日のファシリテート、議事録の作成など、円滑な会議運営を実施しています。そのほか、これらの業務に伴う上司への報告や相談、他部署との調整などを行っています。
※東京電子自治体共同運営サービス:東京都内の地方公共団体が相互に協力・連携して住民サービスの向上と行政の高度化・効率化を図ることを目的として2004年(平成16年)2月に協議会が設置され、参加自治体に共同で提供される電子調達サービス及び電子申請サービス。
財団での働き方について教えてください。
リモートワークや時差勤務を活用し、柔軟な働き方ができています。ICT職全体を見ても、週に数回程度リモートワークをしている職員が多い印象です。会議室にはマイクやスピーカーが設置されているため、リモートワークの職員もミーティングに参加しやすい環境が整っています。
また、庁内のコミュニケーションツールは主にTeamsを利用しています。必要な情報にアクセスしやすく、業務を円滑に進められています。
財団内の雰囲気を教えてください。
協力的な雰囲気です。たとえば私が所属するグループでは、良い報告よりも、トラブルやミスなどの悪い報告をいち早く行う「バッドニュース・ファースト」のルールが定着しています。これにより、問題を一人で抱え込まず、組織全体で対応する風土が根付いているのだと思います。
また、定期的に持ち回りの勉強会を開催するなど、学習機会も豊富です。日々業務に追われているとなかなか勉強時間を捻出できないので、こういった学習機会が設けられていることによって、業務に関連する分野への理解を深められるのは良い仕組みだと感じています。
仕事のやりがい・難しさは?
デジタルツールの提供元である事業者に対して区市町村の代表として関わる立場にあるため、仕事には大きな責任が伴いますが、その分やりがいも感じています。
特にやりがいを感じるのは、区市町村の担当者からお礼を言われたとき。多くの関係者と連携し、プロジェクトが一段落ついたときにも達成感を得られますね。
仕事の難しさを感じる点は、関係者のICTに関する前提知識が様々であることです。なかでも区市町村の担当者は3年程度を目安に異動するのが一般的なので、ナレッジが蓄積されにくいという課題もあります。そのため、区市町村の担当者と話をする際は、専門用語を別の言葉に置き換えたり、図を用いたりと、わかりやすく伝えるための工夫を凝らしています。このように、事業者やエンジニア、区市町村の担当者など、立場の違う人同士をいかにつなげられるかが、ICT職の腕の見せ所なのではないでしょうか。
【Case2】Bさん(デジタルサービス局デジタル戦略部区市町村DX協働課)
1日のスケジュール
現在の仕事内容は?
自治体の情報システムの標準化・共通化※の実現に向けた、自治体への支援を行っています。具体的には、まず、区市町村からいただいた相談への対応が挙げられます。その内容は、標準化に向けたシステム移行計画・工程に関するものや、基幹20業務のシステム機能や仕様に関する質問など様々です。
また、システム標準化に向けた関係者との調整も重要な仕事の一つです。区市町村の担当者やITベンダーの方々との打合せを重ねながら、それぞれのニーズや状況を把握し、最適な対応を検討していきます。これに伴う資料作成や、関係各所への連絡なども行います。
※自治体情報システムの標準化・共通化:戸籍や国民年金などの自治体基幹20業務のシステムについて、原則として令和7年度末までに国が定める標準的な仕様に適合させたうえで、国が用意したガバメントクラウド上に移行させる取組。
都庁での働き方について教えてください。
多様な働き方ができています。「一日のスケジュール」にもある通り、業務内容に合わせて新宿NSビル、自宅、状況によってサテライトオフィスなど、働く場所を柔軟に選べる点がありがたいですね。リモートワークもできるので、家族との時間や自分の時間を大切にしながら、仕事に取り組むことができています。
職場の雰囲気を教えてください。
新卒、中途を問わず、様々な立場の人とフランクに接することができる雰囲気です。特に印象的なのは、エキスパート集団であるGovTech東京のメンバーとの距離が近く、気軽に相談ができること。技術的なことで分からないことや困ったことがある際、相談すると的確なアドバイスをいただけるので、非常に心強い存在です。
さらに研修制度も充実しており、入庁1年目から学ぶ機会に恵まれていますね。刺激を受けられる環境で働けることを貴重に感じています。
仕事のやりがい・難しさは?
仕事をしていてやりがいを感じるのは、周囲から感謝されたとき、プロジェクトの目標を達成できた瞬間です。「自分の仕事が誰かの役に立っている」という実感が、日々のモチベーションにつながっています。特に、区市町村の担当者から「今後の方針が見えたよ」、「ありがとう」などの言葉をいただくと、この仕事をやっていて良かったと感じます。
区市町村によって、抱えている課題やシステムに対する理解度は様々。それぞれの担当者の方に合った切り口で提案でき、それによってプロジェクトがスムーズに進んだときは、より一層の嬉しさを感じます。
仕事を進めるうえで気をつけているのは、関係者が多いプロジェクトにおいて、常にゴールを見失わないようにすること。区市町村の担当者、GovTech東京のメンバー、委託事業者など、それぞれの立場や意見を踏まえながら、円滑にプロジェクトを進行していく力が求められます。
成長と柔軟な働き方を両立できる、東京都のICT職
民間企業出身者をはじめ、様々なバックグラウンドを持つ人材が集まる東京都のICT職。それぞれの経験やスキルを活かしながら、ソーシャルインパクトの大きいプロジェクトの一員として活躍しています。
そして、これまでの公務員のイメージを覆すような、柔軟な働き方が推奨されている点も特徴。リモートワークや時差勤務、働きやすい服装での勤務など、自分らしく働ける職場環境が整っています。
また、チームワークを重視しており、部署や立場を超えて、問題解決に向けて積極的に協力し合う風土があります。専門性を磨くための学びの機会も多く用意されているため、ぜひ、東京都のICT職というキャリアを検討してみてください。