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東京都デジタルサービス局主催「Career Meetup 未来を動かすキャリア選択ーあなたの経験で東京のDXを次のステージへ」イベントレポート
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東京都では、行政とデジタルの知見を兼ね備え、オール東京のDXを牽引する行政職員として「ICT職」の採用を行っています。
「東京」を舞台に活躍するICT職のリアルな声をお届けするため、東京都デジタルサービス局主催のライブ配信イベントを開催しました。
イベント概要
今回のMeetupでは、民間企業等の職務経験がある2名のICT職を交えて、東京都が取り組むDXのビジョンや戦略、実際に手掛ける事業や業務内容、転職後のギャップとその克服方法、行政というフィールドで働くことの苦労や魅力などをお話ししました。
登壇者プロフィール
※プロフィールは2025年2月18日時点の内容です。
■ICT職 登壇者
高下 寛之
デジタルサービス局 デジタル基盤部
デジタル基盤運用課 プラットフォーム運用担当
2008年4月 – 2017年3月
新卒でSIerにシステムエンジニアとして入社。
ショッピングサイトや基幹システムなどの業務システム構築などに携わる。
2017年4月~2021年3月
キャリア活用採用で東京都庁に事務職として入庁。
教育庁で全都立学校へのOffice365の導入やWi-Fi整備、都立小中学校へのGIGAスクール端末の整備などに携わる。
2021年4月 – 現在
ICT職へ職種を変更し、デジタルサービス局へ転入。都庁各局のデジタル化のサポート業務を担う。
今年4月から現職にてデジタルツールの導入を担当。


高瀬 大作
一般財団法人GovTech東京 テクノロジー本部 テクニカルグループ(デジタルサービス局総務部付派遣)
2008.4 – 2015.3
新卒でSierにシステムエンジニアとして入社。
百貨店向けシステムを中心に、業務システムの構築・運用保守などに携わる。
2015.4 – 2024.3
政令指定都市にICT専門職として入庁。
情報セキュリティ担当業務、区役所における防災業務やDX推進、庁内ネットワークの運用管理業務などに携わる。
2024.4 – 現在
キャリア活用採用で東京都庁にICT職として入庁。
GovTech東京に派遣となり、デジタル共通基盤の企画・開発や区市町村情報セキュリティポリシー改定の伴走支援などを実施している。


■事務局 登壇者
安藤 武郎
デジタルサービス局 総務部 デジタル人材戦略課長
2006年4月~2023年3月
新卒で東京都庁入庁(事務職)。教育庁で都立学校の現場や総務局で庁内の人事制度などを担当したほか、内閣府、江東区、㈱東京ビッグサイトへの派遣を通じ、幅広い組織・業務を経験。
2023年4月~現在
デジタルサービス局へ転入。CIO補佐官制度など都庁内のDX推進体制の構築・運営に携わった後、昨年4月から現職にて、ICT職をはじめとするデジタル人材の確保・育成等を担当。
トークセッション
東京都への転職理由についてお聞かせください
高瀬 まず、民間企業から政令市へ転職した経験があります。民間企業で担当していた案件が一段落したタイミングで今後のキャリアについて考えていたところ、偶然、ICTの専門職を募集している自治体があることを知りました。
各団体の就職説明会に参加したり、自治体職員として勤務している友人から話を聞いたりする中で、行政分野でも情報技術のニーズがあることを知り、やりがいのある分野でスキルを活かして活躍できそうだと考えるようになり、政令市へ転職しました。
政令市では、事業企画や各種制度を所管する本庁と、住民サービスの提供が中心の行政区のどちらの現場も経験することができました。
そのような中、ニュースなどから東京都でGovTech東京を立ち上げること・採用枠としてキャリア活用のICT職があることを知りました。今度はこれまでの「システムエンジニア+政令市職員としての経験」を東京都庁で活かすことができると考えるようになり、採用試験を受験いたしました。
高下 前職は民間のシステムエンジニアをしていました。モノづくりの職業ではあったものの、キャリアを積むにつれて純粋なモノづくりから売上や営業利益などの目標を持つといった、ビジネス色がどんどん濃くなっていきました。民間でシステムエンジニアをするということはそういうものなのだと思いつつ、「自分の性には合っていないのではないか、人に喜ばれる本当に良いモノづくりがしたい」と改めて思うようになりました。
そんな中、都庁でシステムの枠で転職者募集を行っているのを見て、公共・行政の世界への転職を決意しました。
業務のやりがいや働き方について教えてください。
高下 利用者のために良いものを作る、という純粋な気持ちで仕事ができる点がやりがいに繋がっていると思います。また、東京都は規模が大きいので、自らが担当した仕事がニュースになったり、何万人もの人に届くサービスを担当したりと、成果を体感できる点もやりがいがあると感じています。
高瀬 1,400万人を超える東京都民一人ひとりに対する行政サービスの提供にあたり、都庁と区市町村は本当に多種多様な事業を推進しています。それぞれが抱える課題は全て違っていますが、それらをデジタルの力でサポートすることは、大変である反面やりがいも大きいと感じています。
また、GovTech東京の存在が非常に大きいと感じています。特に、GovTech東京ではITスペシャリストをはじめとする専門家を「エキスパート」として直接雇用しており、一緒に協力して業務を進めることで、行政職員だけでは得難い最新のトレンドなどをリアルタイムで感じることができ、非常に刺激的です。
安藤 子育て・教育、福祉、産業といったフィールドの広さや予算規模の大きさというのが東京都の魅力の一つかと思います。その分先進的な取組も多く、他自治体などからヒアリングを受ける機会が多いことなど、首都東京を支え、他自治体をリードする役割を担っているといえます。
また、GovTech東京の多様な人材と仕事をすることで、刺激となります。
他にもテレワークの推進やweb会議の利用、時差出勤など働き方も変化しています。服装もデジタルサービス局を中心にカジュアルになりつつありますね。
前職での経験がどう活きているかについてお聞かせください。
高瀬 民間企業でシステムエンジニアとして得たスキルや、政令市における地方自治体での業務経験は、現在の業務にそのまま活用できていると感じています。
例えば、システム開発の業務委託においては技術面と行政実務の両面から成果物をレビューすることができ、都内区市町村のサポートにおいても現場に近い目線で対応することができています。
高下 実際に設計やプログラミング、サーバーの構築やネットワークの構築など、作った経験はとても活かせています。東京都ではモノづくりは事業者に委託し、ICT職はプロジェクト管理などが主な仕事となっていますが、その中で、事業者の作業内容の理解やリスクの察知、対策について考えることができます。その際、東京都の業務なども織り込み、まさに行政とデジタルをつなぐ役割を担うことができています。
今後のキャリアビジョンについて教えてください。
高下 自分自身で今後も良いサービスを生み出すのに加えて、今後は、エンジニアが働きやすい環境を作りたいと考えています。
東京都ではICT職が増えていますが、その人たちがやりがいを持ちながら実力を発揮できてこそ、より良いサービスにつながると思うので、ICT職がやりがいを持ち、長く仕事ができる環境を作っていきたいと考えています。
高瀬 まだ入庁1年目で、最初の現場がGovTech東京のため、都庁の文化や都内区市町村の地域特性などについては業務を通じてこれから勉強していきたいと考えています。その中で、システムエンジニアとしてのスキルや、地方自治体での業務経験については積極的に還元し、質の高いデジタルサービスの提供に貢献していきたいです。それらを通じて、一緒に働く東京都職員・GovTech東京のエキスパート、協働先の区市町村職員などの関係者を「繋ぐ」人材になっていきたいです。
安藤 ICT職のキャリアアップについて補足します。ICT職を設置して丸4年が経ち、2025年4月には200名を超える規模となりますが、まだ管理職(マネージャークラス)は数名程度です。
昨年度から、CIOである宮坂副知事の下で各局のDX推進をリードするCIO補佐官を設置しましたが、現在は事務職が兼務している状態です。このCIO補佐官を将来的にはICT職に担ってもらいたいと考えています。
昇任という点では、都の管理職選考は本人申込制であることが特徴的です。もちろん日々の働きぶりが良好である必要はありますが、時の上司との相性や推薦ではなく、公平に面接等を受けて選抜されていきます。私も事務職の管理職選考を受けましたし、高下さんもICT職の管理職選考に今年度合格した幹部候補生です。益々の活躍を期待しています!
質疑応答
事前のアンケート、当日のチャットでいただいた質問にもお答えしました。
転職後に悩んだことや感じたギャップは何ですか
高瀬 民間企業から行政に転職した直後は、契約事務など各種プロセスの複雑さに圧倒された記憶があります。最初の1年目は苦労しましたが、2年目からは徐々に慣れていきました。
政令市から都庁への転職については、同じ地方公共団体ということもあり、民間から転職したときと比べるとギャップは小さいと思います。一方で、GovTech東京には様々なバックグラウンドを持つスペシャリストが多数所属しているので、一般的な行政の職場よりも業務を通じて良い刺激を受けていると感じています。
高下 SE時代は、システムを本当に作っていたので、それこそ設定ひとつ、プログラム一文字間違えると動かない世界でした。東京都では要件定義などの上流部分までが主体で、設計以降はモノづくりから手を放しマネジメント側に回っています。当初はこんな楽をしていいのかと思いましたが、要件定義や業務整理などの上流部分や、システムリリース後の運用を定着させる「ユーザー側」の大変さをどんどん理解していきました。
東京都とGovTech東京の連携について、どのように仕事をしているのか。
高瀬 いわゆる「バディ」を組む形で、協力して業務にあたっています。関係者との打ち合わせには一緒に参加しますし、区市町村の支援でも現地に同行するなどしています。東京都デジタルサービス局が行政面から、GovTech東京が技術面から、それぞれの持ち味を活かしてお互いに補強しあっている形です。
スキルアップの制度について、どの程度用意されているのか。
安藤 研修は多岐にわたって用意されています。約9,500講座から選べるeラーニング研修から実践型の集合研修、最大1か月程度の海外派遣研修など多様な研修があります。その他、勤務時間後にICT職同士で学び合う勉強会や、資格取得支援も実施しています。
また、高瀬さんはじめ、GovTech東京へ多くのICT職を派遣しており、エキスパート人材と仕事することで、OJTでデジタルスキルが磨かれるようにもなりました。
研修メニューの豊富さはICT職の皆さんからも評価いただいています。
配信中に頂いた質問
職場の雰囲気について教えてください。
高下 仲はいいと思います。特に入って驚いたのが、上司であれ部下であれ、みんな敬語を使って丁寧に会話する点です。壁があり杓子定規なようでいて、実はフラットにコミュニケーションができるので気に入っています。
高瀬 行政の職場と聞くと「固い」イメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、職位や年次に関係なく、仲良くフラットにコミュニケーションしています。一方で、仕事に対する態度は真剣で、良い意味での緊張感もあります。バランスの良い雰囲気だと感じています。
働く上で大事にしていることは何ですか
高下 チームメンバーの健康を心がけています。前職でも体調を崩してしまう人が周りでいました。一緒に仕事をするからには、まずはメンバーの健康を一番に大事にしたいと考えています。
高瀬 担当している業務が「誰に・どんな価値を提供しているか」を常に意識するようにしています。この視点は質の良いサービスを提供するために必要なのはもちろん、自身のモチベーションを高める効果もあると思っています。
即戦力としての活躍が期待されているが、仕事や研修を通じてスキルアップにつながったと感じたことはあるか
高下 驚いた点として、入庁後すぐに仕事を多く任せてもらえたことです。スピーディーに仕事を対応していくことが求められるため、転職組だけでなく、新卒の方でも責任・裁量をもって仕事を任されるため、その中でスキルアップすることができると感じています。
システム監査に関する部門はあるか。
安藤 システム監査室はないが、各局のシステムをアセスメント・評価する部署はあります。
東京都とGovTech東京の業務で明確な違いはあるのか。
高瀬 中の人間でいうと明確な差はありません。バディとしてお互い連携しながら業務を進めています。
仕事をするうえで基礎となる素養や能力などはあるのか?またどのような経験や業務が役立つか?
高下 前職の経験がなくても、好きでモノを作ったりいじったりする経験が活きると思います。
在宅勤務はどれくらい実施しているのか。
安藤 デジタルサービス局では平均すると週1~2日程度となっています。
年齢層はどれくらいか
安藤 多様です。若い方も多いですし、キャリア活用選考採用で40代・50代の方もいらっしゃいます。
下流工程の経験が不足している場合、業務に支障はあるか?
高下 入庁した後でもGovTech東京などで開発の経験はできます。
視聴者へのメッセージ
高下 公共・行政で、本当に良いモノづくりがしたい、と思っていらっしゃるエンジニアの方と一緒にお仕事し、良いモノづくりをぜひ一緒にしていきたいと思います。
高瀬 この動画をご覧の皆様は、行政やGovTech東京の分野に関心をお持ちの方が多いと思います。東京都には、先進的とも言える取組もあれば、これからデジタルの力を活かしていく業務もたくさんあり、キャリアを活かして活躍できるフィールドが広がっています。皆様のチャレンジをお待ちしております。
安藤 都庁には、多くのやりがいある仕事や、共にDXを前に進める仲間があなたを待っています。ぜひ皆様のチャレンジをお待ちしています!

イベント後に寄せられたご質問について
各局業務システムのクラウド化がどの程度進んでいるか、ご教示ください。今後は全面的にクラウド化していくのか、それとも費用対効果等を鑑み縮小していくのかなど、分かる範囲でご教示ください。
順次、都庁内の業務システムのクラウドベースへの転換を行っていく予定です。
クラウド転換の原則は以下の通りとなっています。
○ 原則として、東京都が開発・運用する全業務システムを対象とする。
○ 令和7年度以降に稼働予定の新規構築システムについては、クラウドサービスの利用を前提とする。
○ 既存システムについては、令和7年度以降に到来する次期更改のタイミングでクラウドサービスへの転換を図る。
資格補助について、具体的にどの資格をどの程度金銭的に補助しているかご教示ください(IPAのどの資格か、登録セキスペの維持費用も含まれるのか、ベンダー資格は何が該当するか等々)。
○ 都ではICT職を含めた職員の資格取得支援制度として、IPAの各資格試験(ITパスポート試験~高度試験。更新料も含む)に合格した場合に、受験料の補助を実施しています(支援条件あり。補助割合は最大100%)。
○ また、対象者をICT職に限定した支援制度もあり、庁内需要の高いデジタル分野に関連するベンダー資格試験に合格した場合に、受験料を100%補助しています(支援条件あり)。
イベントを終えて
今回のMeetupでは、ICT職の2名を招いてのトークセッション等を通じて、東京都へ転職した職員の生の声をお届けしました。当日のアーカイブ動画も公開していますので、ぜひご覧ください!
また、Meetup形式のイベントは今後も実施する予定です。開催予定が決まりましたら、本サイトのお知らせページに案内を掲載しますので、ご確認いただけますと幸いです!
▼アーカイブ動画はこちら
令和7年度キャリア活用採用選考(ICT職)へのエントリー期間が公表されました。 |
試験・選考情報については下記のリンク先をご確認ください。(東京都職員採用サイトに遷移します)
▶キャリア活用採用選考