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東京都のDXを内側から動かす「ICT職」とは? 1期生が語る、行政×ITの実態
東京都庁では行政手続のオンライン化やAIの利活用が進むなか、デジタル技術を活用した都民サービスの向上と業務効率化を進めています。その中核を担う人材として「ICT職」を2021年から採用しています。
今回は、都庁におけるICT職の概要や役割についてご紹介。あわせて、1期生として入庁し複数の現場を経て現在はクラウド共通基盤「東京都クラウドインフラ」の構築に携わる多田さんに業務内容や1日の流れ、都庁でのやりがいやキャリア形成について詳しく伺いました。
多田(東京都 / ICT職)
GovTech東京 デジタルサービス基盤本部
2021年にICT職として東京都庁に新卒入庁。デジタルサービス局デジタル基盤整備部情報システム運用課で庁内ネットワークの整備・運用を2年、主税局資産税部固定資産税課で税務総合支援システム(TACSS)の運用・更改を2年、民間企業への派遣を1年経験したのち、現在はGovTech東京で東京都クラウドインフラの構築を担当している。
※組織名称・役職は取材当時のものです。
目次
東京都庁の「ICT職」はどんな職種?
「ICT職」とはデジタルと行政の知見を合わせ持つ技術職
東京都庁が2021年に新設した「ICT職」は、都政課題とデジタル技術の双方に精通し、デジタルの力で課題解決を図る技術職です。企画・計画の策定から事業推進まで、デジタルに関わる業務を一貫して担います。
採用ルートは新卒・経験者(中途)の双方で、SIerやコンサル、事業会社のIT・システム部門、他自治体出身など多様な人材が集まっています。業務範囲も各局のシステム整備・運用から「一般財団法人GovTech東京」(以下、「GovTech東京」という。)と連携した全庁プロジェクトまで多岐にわたります。
なお、GovTech東京とは、多様なパートナーと共に都と区市町村を含めた東京全体のDXを効果的に進める新たなプラットフォームとして、2023年に設立された組織(東京都政策連携団体)です。デジタルサービス局と協働をしており、東京都のICT職はGovTech東京に派遣される機会もあります。
専門人材が集まることで生まれる大きなインパクト
「ICT職」ができる以前はデジタルに関する技術職の枠がなく、ITに詳しい職員が個別に対応していました。ICT職として専門人材を集約したことで、都全体のシステムやサービスの質を組織的にコントロールできる体制が整いつつあります。
ITの専門知識を持つ職員が加わることで組織として適切な判断を下せるようになり、AI活用や業務のデジタル化を通じて、最終的な都民サービスの利便性向上へつながることが期待されています。
「主体性と社会貢献」を求めて、都庁のIT課題に挑む

都庁のICT職を志望した理由を教えてください。
多田: 一番の理由は、情報分野の知識を活かし、自ら主体性を持って社会に貢献したかったからです。
自分の意思でプロダクトやサービスを動かせる環境を求めて就職活動を行っていたのですが、調べる中で目に留まったのが「公共」という領域でした。ちょうど東京都で「ICT職」が新設されると知り、迷わず都庁への挑戦を決めました。
行政は自組織でシステムや制度の基盤を持ち、それを直接、都民の皆様や他団体へ届ける立場です。ここなら、自組織で裁量を持ってシステムを創り届けるという、まさに求めていた働き方が実現できると考えたからです。
実際に働いてみて、「主体的に動けている」という手応えはありますか?
多田:都庁の課題解決に向けた実務のプロセスにおいては、想像以上に主体性を持って動けていると実感しています。
例えば、私が参画していたプロジェクトでは「こういう状態にしてほしい、こういう機能が欲しい」という大枠から仕事が始まったため、具体的な設計や他部署との調整、運用の構築まで自由に舵取りさせてもらえました。実際、1・2年目のネットワーク整備でも現場目線に立った調整を主導しましたし、現在のGovTech東京でも運用設計を一通り任されています。
行政はデジタルの専門人材が希少だからこそ、自ら拾って取り組める課題がたくさんあります。自分が庁内DXを動かすことが最終的に都民のQOL向上に繋がっていくと考えており、非常に社会的意義の大きな仕事に関われている手応えがありますね。
都庁内・民間企業での経験を経て、全庁共通インフラの構築へ

入庁されてからのご経歴と、現在の具体的な業務内容について教えてください。
多田:入庁1〜2年目はデジタルサービス局で、本庁や事業所のネットワーク整備・運用、インターネット環境やLAN整備、各局システムを庁内ネットワークに接続するための調整を担当しました。
3〜4年目は主税局へ異動し、税務システムの運用および次期システムの設計を担当。発注者側の立場でSIerへ要件定義や設計・運用方針の協議を行いました。5年目には民間企業に派遣され、ネットワーク設計などの技術的な勉強、既存システムの変更作業や新システムの設計・提案業務など、SIer側の実務を1年間経験しました。
現在は、GovTech東京でデジタルサービス基盤本部に所属し、「東京都クラウドインフラ」という全庁的なクラウド共通基盤の構築を担当しています。
現在携わっている「東京都クラウドインフラ」プロジェクトの目的を教えてください。
多田:大きく分けると、開発コストや手間の最適化、全庁的なガバナンスとセキュリティの強化、業務継続性の確保、そして開発・運用の内製化推進という目的があります。
従来のように各局が独自にシステムを構築・運用していると、同じような機能の重複開発によってコストや手間がかかるほか、全庁統一のセキュリティルールを徹底することが困難でした。
「東京都クラウドインフラ」で管理することで、共通機能を効率的に活用できるようになると同時に、基盤側で統一したガバナンスと高度なセキュリティを確保できます。さらに、システムやデータが保全されることで災害時の業務継続も可能になります。
加えて、内製化の仕組みを整え、リリース後も技術変化に柔軟に対応しながら継続的に品質向上を図っていく点も、本プロジェクトの重要な目的です。
そうした大規模なプロジェクトの中で、多田さんはどのような役割を担われているのでしょうか。
多田:私は現在、プロジェクト管理・調整、一部構築への参加、運用設計の3つを担っています。
主な役割は、東京都クラウドインフラに参画されているエンジニアの方々がスムーズに作業できるよう、行政内の手続きや関係部署との調整を行うことです。同時に、自分自身も技術的な学びを得ながら、実際の構築作業の一部を担当しています。
直近では特に運用設計に注力しており、本番稼働後の運用ルールや具体的な手続きの仕組みを整備しているところです。エンジニアの方と連携しながら、この基盤を長期的に安定して運用し続けるための体制づくりを進めています。
1日の大まかな業務の流れや、主に時間を割いている業務を教えてください。
多田:主に打ち合わせや関係部署との課題整理、設計書の作成作業に多くの時間を使っています。日によっては夕方以降に変更作業を行うこともありますが、基本的には計画的に業務を進めています。

経験を次の現場へ。都庁での成長と充実したサポート環境
これまでに何度か部署を異動されていますが、ご自身のキャリアやスキルはどのように積み上がっていると感じますか?
多田:私のように2年ペースで異動するのは少し珍しいかもしれませんが、各部署で得た現場感や技術知識は、次の部署で確実に活きています。
例えば、1・2年目にデジタルサービス局で培ったネットワークの基礎知識や、派遣先の民間企業で学んだ実機・セキュリティの実務経験は、今のクラウドインフラ業務の大きな土台になっています。また、主税局で税務システムを担当した際に、行政の現場と中央管理部門での視点の違いを実感できたことも今の業務にとても活きています。
関わった領域や現場の事情が広がることで他部署との調整がスムーズになり、「庁内全体の状況を踏まえてどう進めるべきか」という実践的な視点が身についたと感じています。
これまでで特に印象に残っている業務や、その中で感じた面白さについて教えてください。
多田:1年目に担当した庁内ネットワークの整備が一番印象に残っています。小規模な変更であっても都庁全体へ影響が及ぶため、全庁的な調整や舵取りの大変さを痛感しました。
ただ、ITに詳しくない現場の状況や都庁という組織の仕組みを理解していくにつれて、「この変更なら現場にこんな影響が出そうだな」と事前に予測を立てて調整できるようになりました。行政特有の調整事項や課題に対して、自分の知識を使って解決に導いていくプロセスには、大きな面白さとやりがいを感じています。
スキルアップのための環境や、職場の雰囲気はいかがですか。
多田:都庁のICT職は、人材育成の環境も手厚く、段階に応じたシステム企画研修やオンデマンド学習をはじめ、資格取得や外部の技術講座受講の支援など、自主的なスキルアップを後押しする制度が非常に充実しています。能動的に動くための「基礎体力」を身につけられる環境がしっかりと整っています。
職場には、SIerやコンサル、事業会社のIT部門、他自治体など、多様なバックグラウンドを持つ中途職員が多く、お互いの知見を共有しながら刺激し合える文化があります。また、他の部署にいる同期とも定期的に情報交換や業務連携を行っており、互いの成長を感じながら支え合える存在がいるのはとても心強いです。
過渡期にある都庁DX。現場の想いに寄り添い、ともに未来を変えていく仲間へ

都庁におけるデジタルの現状と、今後の展望について教えてください。
多田:入庁時に比べるとデジタルサービス局内では高度なIT知識を持って舵取りできる人材が増えましたが、都庁全体で見ればまだ一部にとどまっており、現在は変化の過渡期にいると考えています。
GovTech東京などのエキスパートと協働する仕組みができたことで、外部のプロの知見を直接吸収し、自らの知識を高められる環境が整ってきました。今後はそうした高いIT知識を持つ人材が庁内全体で増え、多数派となっていくことを期待しています。
どのような人と一緒に働きたいですか。
多田:単に自身の技術力を追求するだけでなく、行政特有の仕組みやDXで業務を良くしたいという現場の想いに寄り添い、力を発揮できる方ですね。
旧態依然とした業務や組織の課題に対しても決して諦めず、新しい仕組みを取り入れながら継続的に課題へ立ち向かっていける方と一緒に働きたいです。
最後に、応募を検討している読者へメッセージをお願いします。
多田:都庁のICT職は、大規模プロジェクトを任される裁量があるだけでなく、行政手続きのオンライン化をはじめとする庁内の仕組みの進化を通じ、自らの仕事が行政の効率化や都民の利便性・QOL向上に直結している実感を持ちながら取り組むことができます。
東京の未来や都民の暮らしを良くすることに対して、真剣に向き合い一緒に挑戦できる仲間とお会いできるのを楽しみにしています。
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